2023.06.15の繊研新聞で、一面に掲載していただきました。ありがとうございます!
さて、記事では「独自の成長評価制度から丸6年。業務は徹底した見える化」という見出しで書いていただいています。
会社を成長させる為にはもちろん、評価や仕組み作りが大事なんですが、こういったものは「戦術」でして、もっとも大事なのは「戦略」です。
ですので、もし、経営者の方で経常利益が出なくて悩んでいるのでしたら、まず最初に取り組むべきことは「経営計画書」の作成ですので、ご注意ください。
私の人生での会社改革を振り返ってみても、
①経営計画書の作成
②毎年の経営計画発表会の開催
この2つが大事だったと考えています。
もし、経営計画書を作っていない社長さんは、ぜひ、小山昇氏の下記の本をご一読ください。
この本の通りに経営計画書を手帳化し、毎年、社員と共に経営計画発表会を開催すれば、必ず会社は良くなりますから。
中小企業の経営者の皆さんの健闘を祈ります!
「繊研新聞の記事の内容」
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「独自の成長評価制度から丸6年。業務は徹底した見える化」
「価格を抑えた量販型のベーシック商品が中心。何で成長できてるの?って思っているのでしょう」。そう苦笑しながら逆質問するのは、福井県あわら市でインナー・レッグウェアなどのEC販売を手掛ける「すててこ」の笹原博之社長だ。言葉通り、商品は大手アパレルメーカーの量販型ブランドのほか、自社開発の肌着や靴下、体操服などで構成する。楽天などで主に販売するECサイトもベーシックなものだ。
近年の業績は右肩上がり。20年2月期の売上高は5億600万円だった。
その後は、7億2500万円、10億700万円、11億7000万円と伸長。24年2月期は14億2600万円を計画し、経常利益1億円も視野に入ってきた。
成長の理由について、「この間まいてきた種が実り始めたという手応えは感じる。特に人の成長と仕組み作りの2つでしょうか。」
16年に独自の「成長評価制度」を導入。全社員が日報・月報はもちろん、目標や行動計画、自己評価などを記入、毎月社長とマンツーマンで面談し、目標の進捗状況などを話し合った。
目標数値は他者との比較ではなく、あくまで1年前の自分と比べてどう改善、成長したかがポイントだ。掲げる目標も仕事のことだけでなく、家族との時間を増やすことや節酒などプライベートな事柄も含む。
年4回実施する社内テストの内容もユニークだ。事前に配布したテキストの中から出題する形式で、経営学や心理学の理論、マインドセットなどの教養問題が多い。
「優秀な人材が揃う大企業と違う。個々の能力が異なる中少企業が伸びていくには、社員全員が仕事上、そして人間として成長していくしかない」
との思いからだ。
一方、仕組み作りは、「全ての業務の見える化」をキーワードにした。「パワーBI」をベースにした情報システムだが、地元にUターンしたシステムエンジニアを採用できたことで、自社に合うよう内製化できた。
サイト別の販売状況や年次、中期計画、日々の在庫・出荷・受注の進捗状態、広告宣伝や経理財務の現況、成長評価制度を含む人の管理などの全てを記録し、数値化・可視化したものだ。
数値化できないものも仮説の数字を入れる。「社長の目標や達成度、給与まで丸見えですから」。
会社全体の情報を共有するだけでなく、自己の評価や目標達成にも大きく役立つ。カスタマーサービス部門なら返信数やクレームの処理数、ピッキング部門なら処理数や所要時間が一目瞭然。自身の能力がどう上がったか、全社の中でどう貢献できたかが分かりやすい。
会社も笹原社長も、決して平坦な道を歩んできたわけでない。EC事業に転業する前、家業を継いだ衣料品店は一時は倒産寸前だった。EC事業の本格化以降も、カシミヤや中国事業、卸事業などの失敗は少なくない。4年前には妻を病で亡くし、今も多忙な中で小学生を育てる。「私も51歳。『時間の使い方が人生』という言葉をかみしめています。残された時間はそう長くありません。ここでもう一回、成長を目指そうと思います」。
分散している物流倉庫などを一元化したセンター&本社の新設を、来年夏をめどに具体化していく。現在35%のPB(プライペートブランド)を50%に伸ばすことも目標。
パタンナーの採用や付帯設備を入れ、縫製仕様書も内製化した。PB向けに中国で約15の協力工場を組織化しているが、仕様書をベースにすれば工場ごとの得手不得手が把握しやすくなり、品質改善や価格交渉の大きな武器になる。中国人社員も採用したばかりだ。
長期ビジョンは売上高100億円、経常利益3億円。今年から全社員の面談は4人の課長にバトンタッチした。「いずれ、社員の中から次の社長が出てくるでしょう」と、笹原社長は先を見据えている。