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結婚お祝い品
私には大学時代にいっしょに遊んでいた友人の輪がある。だいたいが経済学部の連中なのであるが、
これがまたいい意味でたちが悪い。みな悪ふざけが大好きで、勝負事で負けたらバツゲームとして、
秋なのにスキー板かついでコンビニに入り店員に「ゲレンデどこですか?」と聞かせたり、飲み会中に
酔っ払った勢いで女性用水着を無理やり着て騒いだり、スキーに行く途中、高速のパーキングで一人だけ
トイレに行こうものなら戻ってきた時、間違い無く「お約束」とのたまわれ、鍵をかけられて車内に入れて
もらえず、200m走らされたり、郡上八幡祭りに行った時は、盆踊りに疲れ、川沿いで涼んでいたら
押されて川に落とされたり(落とされたのは私)……まぁいわゆる私の悪友連中である。

そんな中の一人が、中学の時から付き合っていた彼女と12月に結婚した。で、その悪友連中らで
「なにかお祝い品を贈ろう」
という話になった。一人頭5000円、8人がこの話に乗り、40000円で贈答品を買うことになった。

しかし、やはり普通じゃつまらない。何か変わったものじゃないと芸が無い。そこで何を贈ろうかと考えて
いると、その悪友連中の中でももっとも悪ふざけ好きな飯嶋氏(仮名)が、冗談でこう言った。

「1円玉で……いや、「御縁」と「5円」を掛けて5円玉で40000円分贈ろうか?」


決定!


私がお金を管理していたので、私が贈答品を作ることとなった。
そこで私は銀行へ行き、40000円を両替することとなった。

私「あの、5円玉を8000枚両替して欲しいんですけれど。」

銀行員「え?何かイベントに使うんですか?」

私「まぁそんなもんです。」

銀行員「えぇっと、今すぐには無いので2日ほど待ってもらえますか?」

そりゃそうだわな。そんなんすぐに用意できるわけないよね。了解してその場を去った。

2日後、銀行に行くと女性銀行員がやってきて「今お持ちします」と五円玉を取り出して……いや、
引きずってきた。5円玉は麻袋に2つに分けられていたが、女性にはとても持ち上げられないくらい
明らかに重そうだった。私はそれを受け取り、店に運んで贈答品として包装する手はずを整えた。




さて、ではどう包装しよう?私は悩んだ。総重量はおそらく30kgを超えているだろう。きちんとラッピング
など出来ようも無い。そこで店にあった黒いカバンを買い、その中に5円玉を流し込み(4万円だと縁起が
悪いので4万5円にした)、底が抜けないように3重にしたダンボールの中に入れて、悪友一同の手紙を添え、
さらにガムテープでぐるぐる巻きにした。見ばえは恐ろしく悪かったが、ブラックジョークとユーモアあふれる
贈答品が出来あがった。佐川急便を呼ぶと、小さいわりにずしりと重い荷物に運搬の兄ちゃんもびっくりしていた。




2日後

その結婚した彼からゲラゲラ笑いながら電話がかかってきた。だいぶ気に入ってもらえたみたいだった。

あぁ素晴らしき悪友の輪。


~おしまい~